アンティークのベンチといえば、どんな家具を思い浮かべますか。実は「アンティークのベンチ」と一言で言っても、その種類は実に多様なのです。中には「これもベンチなの?」と思うようなものもあります。アンティークのベンチを買う際には、その様々な形を知っておくと、あなたにぴったりの1台を選びやすくなりますよ。
今回は代表的なアンティークベンチの種類を、選ぶポイントや、お手入れ方法と合わせてお伝えしていきます。
Contents
アンティークベンチの魅力、多様なデザイン
アンティークのベンチの魅力はなんといっても、その形の多様性。使う場所や用途によって様々な形が考案されました。形状が多様なベンチは、その形によって使用用途が決まります。自分がどう使いたいかをイメージしながら、形を押さえていきましょう。
代表的な形を、手に入りやすい順番にご紹介していきます。後半にいくほど、なかなか手に入らないデザインとなります。
シンプルだから便利、木製ベンチ
ルーツは「労働の椅子」
木製の座面に脚がついた形の、シンプルなベンチ。背もたれがあるものも、無いものもあります。脚は木やアイアンでできたものが多く、素朴な印象です。
古い時代、椅子は権力を誇示するためと、労働時に身を休めるため、2種類の役割を果たしてきました。このシンプルなベンチは民衆が使う「労働の椅子」がルーツとなったと考えられます。
シンプルだから、合わせやすい
背もたれの無いものは、座る以外の用途にも応用しやすいのが魅力。背もたれのあるものは、体をもたれることが出来るのに、すっきりとした存在感なのが嬉しいところです。どちらもアンティークの味わいはありながらも簡素なので、合わせるインテリアを選びません。
ふかっとした座り心地、ベンチソファ
ベンチソファは「クッションがすっきりとしたソファ」
ベンチソファとはソファのようなベンチ。背もたれの有無の違いはありますが、どれもクッションがついており座り心地がよくなっています。
ソファとかなり似ているものもありますが、異なるのはクッションの厚み。木製のベンチにクッションが置いてあるのがベンチソファの基本構造なので、ソファに比べクッションが薄いのが特徴です。肘掛けがついているとアームベンチソファと呼ばれます。
狭いお部屋におすすめ
ソファが置きたくても、部屋が狭くなるから…とあきらめている方も多いのではないでしょうか。ベンチソファは、座面の大きさはソファと変わらなくても、華奢な脚とすっきりとしたクッションのおかげで圧迫感がありません。
念願のソファ設置も、ベンチソファなら叶えられるかもしれませんよ。
気品あふれるセティ
ソファと違うのは「心構え」
セティは一般的に小さな2人掛けのベンチソファを指します。元は上流階級で使われていた家具で、ソファが昼寝などくつろぎを目的とする一方、セティはあくまで“背筋を伸ばして座るもの”という立ち位置でした。
サロンや劇場の貴賓席におかれ、古いものですと女性の仕草が美しくなるように、ドレスのボリュームに合わせ奥行きと幅にゆとりをもって作られています。
エレガントなベンチソファとして
ソファが欲しいけれど、もったりした印象で部屋に取り入れかねている方や、エレガントな印象のベンチソファを置きたい方に、セティはぴったり。
デザインが美しく、座り心地はいいのに適度な緊張感があるセティは、使う人の身のこなしも美しく見せてくれます。特に女性におすすめの、アンティークベンチと言えるかもしれません。
木材が映える、チャーチベンチ
教会で使われた椅子
教会で信者たちが腰かけたチャーチベンチ。昔、身分の高さを象徴したひとり掛けの椅子は、教会では聖職者だけが座るもの。信者はみんな揃ってベンチに座りました。背面についた聖書入れが特徴的です。また聖歌を歌う際に立ち上がることから、座面が折りたためるものもありますよ。
大きさは3,4人座れるくらいが平均的です。また座席が個別になっている、パイプ椅子をくっつけたような少し変わったタイプもまれに見られます。
素朴さが魅力
チャーチベンチは木製で素朴なものが多く、木材によって雰囲気が大きく変わります。
例えばパイン材など色目の明るい木でできていれば、カジュアルで爽やかな印象。マホガニーなど色目の落ち着いた木でできていれば、重厚な雰囲気です。形が簡素なおかげで、様々な印象を見せてくれるのが魅力です。
家具のルーツ、コファ
戦乱の時代ならではの万能家具
ブランケットボックスとも呼ばれるコファは、収納ボックスの上に座る形のベンチ。現在のチェストのルーツとなった家具で、17世紀のチェスト登場まで広く愛用されてきました。箱の中に貴重品を入れるだけでなく、寒さや湿気から身を守るために、コファの上に座ったり寝たりもしていました。
長らく続いた戦乱の時代、いつでもコファさえ持てば逃げ出せるように、多くのコファには持ち手がついています。
なんでもしまえる懐の広さ
コファはその形を生かしてセンターテーブルにも使えます。
ちなみに海外ではコファをよくベッドの足元に置きます。寝具やルームウェアなどを収納できて便利です。他にも「ホープチェスト」という使い方があります。昔の思い出や、夢をイメージするもの、夢を実現した時に必要なものを入れておくそうですよ。
ミニマリストにおすすめ、モンクスベンチ
修道士のお気に入り
モンクスベンチは、ベンチがテーブルにもなる折りたたみ式の家具のことを指します。テーブルベンチと呼ばれることもあります。
モンクスとは修道士や修道女のこと。持ち込める私物が限られていた彼らが、何通りにも使えるこの機能的な家具を好んだことに由来します。教会向けの簡素なモンクスベンチは、後に戦争などの移動時にも便利なことから大衆に広まり、装飾も豪華になってゆきました。
家具をいくつも置きたくない人に
テーブルとしても、ベンチとしても使えるモンクスベンチ。普段はサイドテーブルやちょっとした書き物に使い、お客様が来た際にはベンチに使う、なんてことも出来ます。モンクスベンチの仕掛けでお客様との話も盛り上がりそう。
座面が収納箱になっているものも多いので、一石三鳥も狙える便利な家具です。
棚つきが便利、テレフォンベンチ
比較的あたらしい家具、テレフォンベンチ
海外では「gossip bench」とも呼ばれ、電話台と座席が一体化しており、ゆったりとおしゃべり出来るようになっています。テレフォンベンチは、比較的あたらしい種類の家具で、北欧のビンテージ家具としてもよく登場します。確認出来た最も古いテレフォンベンチは、1930年製でした(※)
固定電話の存在感が薄れてしまった現在でも充分に活躍する、機能性のあるベンチです。
※2016年3月現在の調査結果です
何に使おう、想像がふくらむ
テレフォンベンチは電話台の部分が棚や引き出しになっているものが多く、ちょっとした小物や本をしまっておくことが出来ます。座席が引き出し型になっており、使わない際には収納しておけるタイプもありますよ。
1人掛けのコンパクトなサイズでありながら、機能性も兼ね備えたテレフォンベンチ。1人掛けの椅子をお探しの方にもおすすめです。
たくさんのアンティークベンチの種類を見てきましたが、実際にどのベンチを買うか選ぶ際に、確認していただきたいポイントがあります。
アンティークベンチ、選ぶ際の9つのポイント
アンティークのベンチを選ぶ上で、押さえたいポイントをご紹介します。ベンチの脚から背もたれまで、下から上へ順番に見ていきましょう。
ベンチの印象を変える、脚
ベンチの印象を大きく左右するのは「脚」です。
細身の脚、特にアイアンなど金属製の脚のものは、とても華奢な印象。空間に広がりを持たせたい場所では、華奢な脚のものを選ぶといいでしょう。
またベンチの下にものを置きたい場合は、脚同士を繋ぐ貫(※)の有無を確認しておくと安心です。特に貫同士をつなぐ「トンボ貫」が付いているものは、ベンチの下に収納することが出来ないので、必ずチェックしておきたいところです。
ゆったりしたいなら、座面の高さも大切
座る際に大切なのが座面の高さです。リラックスして座るのに適した座面の高さは、人間工学では身長の1/4が理想とされています。身長が160~165cmの方で40~41cmがおおよその目安です。
これに近い規格なのが日本のアンティークベンチ(※)。西洋のアンティークベンチの座面は、これよりも高い場合が多いです。女性や小柄な方は、日本のアンティークベンチの方が、座り心地がしっくりくるかもしれません。
座面の素材と状態に注目
ベンチの座面は木でできたいわゆる板座のものと、クッションがついたものがあります。
座面が木のものには、上にものを置くなど他用途に転用しやすいというメリットがあります。一方クッションつきは、ソファ感覚で気軽に取り入れられるのが魅力。どんな用途に使いたいかを考えて選ぶのがポイントです。
なおアンティークベンチのクッションは、やはり使用感があります。座り心地が気になる場合は、リペアをしてクッションの張替えをしてくれているお店で買うのが安心ですよ。
寝転がりたいなら、座面の大きさとアームに注目
幅のあるベンチソファならば、寝転がることも可能です。その時考えておきたいのが「幅の広さ」。女性がゆったりと寝転べる最低の幅がおおよそ43cm。それより狭いと、体をしっかりと預けてリラックスすることが難しいかもしれません。
また寝転ぶなら脚を伸ばす分、アームにも着目したいところ。アームが無いものや、クッションつきアームのあるベンチソファであれば、より幅広い身長の方に寝転んでいただけます。
家族みんなで使いたい場合は、チェックしておきたいところです。
背もたれはあったほうがいいの?
ディスプレイに使いたい場合はさておき、座るために使う場合、なんとなく背もたれがあったほうが便利そうですよね。しかし、背もたれが無いことで空間を遮らず、部屋がとても広く見えるというメリットがあるんです。
日常生活の中で、背もたれに身を預ける時間は意外と短いものです。しっかり寄りかかってリラックスしたいなら背もたれつきを、そうでなければ背もたれの無いものも検討してみる価値がありますよ。
構造から耐久性を確認
大人数で座る場合やお子さんがいらっしゃる家庭では、ベンチの耐久性が気になりますよね。そこで確認したいのがベンチの構造です。例えば貫の本数が少なかったり貫の細いものは、耐久性が低い傾向があります。貫がしっかりしているものは比較的丈夫です。
一方、貫が無いことも多いですが、チャーチベンチもとても安定感のあるアンティークベンチです。ベンチ全体を横板の広い面積で支えているので、非常にがっしりとした造りなのです。
がたつき・ゆらつきを確認
ベンチは毎日身を預けるものですから、実際に現品が見られる場合は、必ず座って安定性を確認してみましょう。もし店舗側で許可が下りるならば、揺らしてがたつき・ゆらつきがないかチェックするといいです。
ベンチの脚が4本とも床にしっかりとついているのに、ゆらゆらする場合は「ぐらつき」がある状態。本体を組みなおさなければ直りません。脚が1本、床から若干浮いてしまっている場合は「がたつき」がある状態。フェルトなどをかませて対処できます。
ちゃんと実用的かどうか判断する、ひとつの基準にしてみてください。
メンテナンスのされているお店を選ぶ
ベンチというとなかなか大きな買い物。初めから、きちんとメンテナンスされているお店で買うことをおすすめします。メンテナンスをしているお店は、不備があった際に再修理にも応じてくれますし、再買い取りしてくれるなど保障がつくところもあります。特に実店舗で買わない場合は、押さえておきたいポイントです。
お部屋に運び込めるか、サイズを確認
アンティークベンチのサイズは様々です。小振りなものは玄関先での引き渡しが基本ですが、大きなものは開梱設置つきの輸送で運ばれてくることが多いようです。立ち合いだけなので楽ではありますが、その前にチェックしておきたいの搬入経路を通るかどうか。アンティークベンチは分解することが出来ないので、搬入出来ないとなると返品しなければならない可能性も出てきます。
お部屋にベンチが入るのか搬入経路の計測を忘れないようにしましょう。
ベンチ選びのポイントをお伝えしてきましたが、なかなかお家に置かれることがないベンチ。その座り心地が気になってしまうのではないでしょうか。特に背もたれつきのベンチは、ちゃんとリラックス出来るのか気になりますよね。実際に座ってみた感想を次にご紹介しますよ。
ちょっと不安?アンティークベンチの座り心地
背もたれの無いベンチならまだしも、背もたれのあるベンチとなるとその座り心地が気になりませんか。ベンチというと硬そうで、くつろげないんじゃないか…そんな風に感じてしまいますよね。そこで、背もたれつきのアンティークベンチに初めて座るスタッフが、その座り心地を検証してみました。
木の座面は痛くないの?
まずこちらの2つのベンチに座ってみました。座面の木の硬さは意外にも全く気になりません。
座面がすのこ状のものの方が、よりフィットする感じがします。よく見ると座面が真ん中でくぼむカーブを描くように、すのこが組まれています。
座面にカーブがあると、座りやすさが1段と増すようですね。
大きなベンチソファって、持て余しそう
次はベンチソファに座ってみました。座り心地はかなりいいです。
でも大振りなサイズで、ひとりでは持て余してしまいそう。思わず寝転んでみましたが、寝心地がよく本を読むのにぴったりです。ひとり暮らしでは大き過ぎる気もするベンチソファですが、寝転んでリラックスも出来る、とても快適な家具だと感心しました。
背もたれの高さって、大切そうだけど、よくわからない
いくつものベンチに座ってみて、特に座り心地がいいものがありました。調べてみると、違いは背もたれの高さでした。
しっくりくるベンチの背もたれは、肩甲骨よりこぶしひとつ分下と、他のアンティークベンチよりもかなり低め。背もたれが高い方が楽なイメージがありましたが、低い方が楽なのは意外な発見でした。
実は学校備品のJIS規格においても、最適な背もたれの高さは「腰および肩甲骨の下の部分を支える」とされています。長時間座る学校の椅子の規格であれば、充分家庭使いの椅子にも当てはめることが出来そうです。選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
欲しいベンチが絞れてきたでしょうか。次に気になるのは金額でしょうか。アンティークのベンチがどのくらいの価格なのか。価格の違いがどこからくるのか、ご紹介していきますね。
アンティークベンチの価格は?
アンティークのベンチの価格はコンディション・材質・作り込みで変わります。具体的にどれぐらい値段が異なるのか、チェックしていきましょう。
まずは一般的に「ベンチ」と呼ばれているタイプについて、背もたれの有無に着目して、価格を見てみましょう。
装飾で変わる、背もたれの無い木製アンティークベンチ
座面に脚がついただけの、背もたれ無しの木製タイプを見てみましょう。どちらも大きさが近いヨーロッパアンティークです。
・削ぎ落とした簡素な感じが魅力的なベンチは、2~6万円台が平均的な価格です。
・脚などに装飾がついた海外アンティークとなると、価格は15万円ぐらいになります。
背もたれの無い木製ベンチの場合、装飾が価格を大きく左右します。凝った装飾のものほど高価です。加えてヨーロッパではこのタイプのアンティークベンチは流通量が少ないので、装飾が施されたものとなると、ますます希少価値が上がります。
ソファに似るほど価値が上がる、背もたれつきアンティークベンチ
ここでは背もたれのついた、3脚のベンチを比較してみます。
・木だけでできた背もたれのあるシンプルな形のものは、5~10万円ぐらいが相場です。
・座面にクッションがつくと、価格がぐっとあがります。背もたれの装飾も、価値を左右するポイントです。価格は10~20万円ぐらいと幅が広いです。
・背中と座面にたっぷりとしたクッションと、さらに肘掛けがつきました。価格は20~30万円くらいが目安です。
このようにアンティークのベンチは、ソファに近づくほど価格が上がります。具体的に言えば、クッションのボリュームと多さ、アームの有無です。クッションの張替えを行っているショップでは、メンテナンス料がクッションの量に比例して、付加されていることもあります。
次からご紹介するのは、「ベンチ」以外の名称が付いたアンティークベンチ。価格傾向が、それぞれ少し異なります。
セティ
10万円台前半から取り扱いがあります。もともとが高級家具なので、価格は高めです。
装飾が豪華なものほど価値が上がる傾向にあります。
チャーチベンチ
価格は3万円台から10万円台までと幅があります。
その差は座れる人数の違い。幅が広く大人数が座れるものの方が価格が高くなります。同じ大きさならば、座席が個別になっているものの方が高価です。
コファ
9万円台から15万円台が相場でしょうか。この価格帯のものはほとんど1900年代につくられたものです。1700年代や1800年代に作られたアンティークコファはその希少性から70万円などの高値がついていることもあります。
モンクスベンチ
6万円台から80万円代と、モンクスベンチの価格幅はかなり大きいです。その違いは装飾。
モンクスベンチの装飾とは脚のデザインや木肌に彫られた木彫。6、7万円台のものは装飾がほとんどみられません。
テレフォンベンチ
テレフォンベンチは比較的新しい家具ではありますが、価格は4万円台から16万円台と、中には高価なものもあります。テレフォンベンチの機能性に加えて、装飾が豪華になることで価格が上がります。
アンティークベンチについて、たっぷりとご紹介してきましたが、ベンチのあるご家庭は少ないので「いまいち家に置くイメージがわかない。」という声も聞こえてきそうです。
実はアンティークベンチは、置き場所などを工夫していただくことで、色々な楽しみ方が出来るんです。
アンティークベンチの活用法
ベンチを買ってもどこに置くのか、いまいちはっきりしないかもしれません。ここではアンティークのベンチの具体的な活用法をご紹介します。
アンティークのベンチは欲しいけれど、置き場所が決まらないから買えない…なんて悩みを解決します。
ソファとして使う
背もたれがあるものも無いものも、圧迫感が少ないので、大きくてもすっきりとした印象。狭い部屋だからソファが置けないと思っている方は、ベンチを置いてみてはいかがでしょうか。
また、ベンチはとても長持ちする家具です。クッションつきであっても、ソファと違いなかなかへたりません。アンティークで買ったとしても、今後長く使えるというのもアンティークベンチの魅力のひとつです。
テーブルや飾り台として使う
すっきりしながらも安定感があるベンチは、テーブルや飾り台として使うのにも適しています。グリーンを飾れば水やりもしやすく、床に並べて置くよりも断然すっきり。プリンターなどの電化製品を置いたり、テレビ台に使うのもおすすめです。ソファやベッド横に置いてサイドテーブルとして使うことも出来ますよ。
足元部分を収納に使えば、さらに空間が有効活用出来ます。
ダイニングテーブルと使う
ダイニングのテーブルと一緒に使うアイディアです。テーブルの片側をベンチ、もう片側をダイニングチェアにするのも素敵です。来客が多いお家は、片側をベンチにしておくと何かと便利です。背もたれがない、あるいは背もたれの高さが低いものを選べば、お部屋が広く見える嬉しい効果も期待出来ますよ。普段は別の使い方をして、お客様用にスタンバイしておくのもいいかもしれません。
ヌックをつくる
ヌックとは、ひとりで読書などを楽しむ、隠れ家のようなこじんまりとしたスペースのことです。手軽にヌックをつくれるアイテムがベンチです。窓辺やお部屋のコーナーにベンチを置けば、お部屋を狭く感じさせることなくヌックが実現可能。クッションが座面についたタイプを選べば、座り心地も快適です。クッションも合わせて置いておけば、さらに快適に過ごせますよ。
せっかく手に入れたアンティークのベンチ。お手入れをして大切にしてあげましょう。お手入れは簡単ですので安心してくださいね。
アンティークベンチのお手入れ方法は?
アンティークベンチの日常のお手入れと、買ったらすぐに付けたい「フェルトキーパー」についてお伝えします。長くきれいに使えるように、ちょっとした手間を掛けてあげましょう。
お手入れは簡単、拭き掃除だけ
ベンチのお手入れは簡単です。まず木製部分のお手入れは乾拭きです。汚れてしまった場合は、固く絞った布で拭きます。ペイントが施してあるベンチは、塗装が落ちないように力加減を調節してあげてください。
クッションがスエードなどの布素材の場合、基本的なお手入れは柔らかいブラシでのブラッシングです。
汚れは薄めた中性洗剤をつけた布で、摘み取るように拭き取ります。残った洗剤を拭き取り、ブラッシングすれば完了です。木部もクッションも、水気を残さないように拭き上げてくださいね。
フェルトキーパーをつけると、より使いやすく
フェルトキーパー、取り付けは簡単
せっかく買ったアンティークベンチ。より使いやすくしてくれるアイテムが、フェルトキーパーです。フェルトキーパーとは家具の脚の部分につけるフェルトのこと。フローリングの傷の防止になる他、家具を滑らせることが出来るので、移動を楽にする効果もあるのです。種類はシール状で貼り付けるだけのタイプと、かなづちで打ち付ける金具タイプの2種類。どちらも女性でも簡単に設置が可能です。
シールタイプは手軽に取り付けが出来て、見た目にも影響がないのがメリット。金具タイプは高さが出てしまったり、家具に若干金具跡がつくデメリットがありますが、取れにくいという強みがあります。お家で使うならシールタイプを、家具をよく動かす店舗などでは打ち付けタイプがおすすめです。どちらも濡れタオルなどで脚をきれいに拭いてから、取り付けてあげてください。
フェルトキーパーのちょっとしたコツ
フェルトキーパーのサイズはぴったりのものか、少し小さめのものを選びます。大き目を選んではみ出してしまうと、ほこりなどが溜まりやすくなります。
フェルトキーパーの寿命はおおよそ2~3年。フェルトがすり減ってきたと感じるのが目安です。金具タイプはペンチで取り外し、元の位地か1mm程度ずらした部分に再度打ち込みます。
まとめ
アンティークベンチの世界、いかがでしたか。ベンチは形も多様、そしてアレンジもききやすい家具です。ひとつで何通りも使える懐の深さ、そしてすっきりした存在感が魅力です。ぜひあなたのお気に入りを見つけて、お部屋に取り入れてみてくださいね。
付録:日本のアンティークベンチとは
ソファ文化が無かった日本。当然ベンチもあまり数はつくられていません。けれども市場には流通している日本のアンティークベンチ。その出所は、やはり一般家庭ではないのです。どんなタイプがあるのか、簡単にご紹介していきます。
労働用の木製ベンチ
背もたれの無い、木の座面のベンチです。この形が日本製のアンティークベンチでは最も多くみられます。仕事でひと休みする際に、利用されたのでしょう。
公共施設のベンチ
教会や駅などの公共機関で使われていたベンチが、売りに出されたパターンです。チャーチベンチの他、背もたれつきの木製ベンチなどが、この経路からやってきます。
上流階級の家から
いわゆる大正ロマンのデザインを盛り込んだ豪華なベンチは、当時の上流階級の家で使われていたものが現代に伝わっています。明治以降に日本に移り住んだ海外の人や帰国子女が、西洋のベンチを真似て日本の職人につくらせた…なんていうパターンが多いようです。