アンティークの宝石箱の魅力は、宝石箱そのもののアクセサリーのような美しい佇まい。でもいざ買おうと思うとどんなデザインがあって、どのような基準で選べばいいのか分かりにくいものです。そこで今回はアンティークの宝石箱の主なバリエーションと、選ぶ際のポイントをご紹介。デザイン・機能の両面であなたにぴったりのアンティーク宝石箱を見つける、ヒントとなってくれるはずです。
またアンティークの宝石箱を選ぶ際のちょっとした注意点も併せてお伝えしますので、購入前にぜひ確認してくださいね。
Contents
デザイン別に見る、あこがれのアンティーク宝石箱
アンティークの宝石箱は欲しいけれど、どんなデザインがあるの?そんなあなたのために、アンティークの宝石箱のデザインを、手に入りやすい順にいくつかご紹介します。ピンとくるポイントを見つけて、あなたの宝石箱選びの参考にしてください。
定番デザイン、真鍮とガラスの宝石箱
アンティークの宝石箱を探すとよく見かけるのが、この真鍮とガラスのタイプです。重厚な真鍮と輝くガラスの組み合わせは、どこかロマンチックで思わず見とれてしまいます。
アクセサリーを引き立てるガラスと真鍮
お気に入りのアクセサリー達がガラスケースの中でキラキラと輝きを増す、まさに「魅せる収納」が楽しめます。重厚感ある真鍮と軽やかさをプラスしてくれるガラスの組み合わせは、アンティークらしい落ち着いた雰囲気も女性らしさも欲しい、そんな方にぴったりです。またこのタイプの宝石箱は1段収納のものからキャビネット型まで形も豊富ですので、お好みのデザインを探す楽しさもあります。加えて本体はガラス製ですが、底にベルベットのクッションが敷いてある場合が多いので、そのままアクセサリーを入れてしまうことが出来ますよ。
アンティーク真鍮の美しさ
このタイプの宝石箱の、アンティークならではの魅力は「真鍮」にあります。真鍮は古くからヨーロッパで幸運をもたらす金属として好まれ、生活の様々な場面で使用されてきました。真鍮は使い続けると表面に酸化膜がはり、ピカピカとしていた質感がいい具合にマットになっていきます。その美しさは60年以上経過すると格段に増すといわれており、アンティークの宝石箱はこの円熟した真鍮の美しさが楽しめるのです。
選ぶポイントは「色」
内側のクッションの色・真鍮の色は、印象を大きく左右する大切な要素です。
ピンクやレッドカラーのクッションは金属の色味を引き立てるので、金属を基調としたアクセサリーにお似合いです。華奢なチェーンもしっかりと引き立ててくれます。一方グレーやミント、生成り色のクッションは、色石の入ったアクセサリーやカメオブローチをきれいに見せてくれますよ。
また真鍮の色味は金色が有名ですが、実は同じ金色の真鍮でも使われた環境によって金色から赤褐色まで、色合いに幅が出るんです。真鍮の色が手持ちのアクセサリーとマッチしているかも、ぜひ注目してみてくださいね。
色鮮やかでかわいらしい、刺繍の宝石箱
現代ではあまりみられない、アンティークならではの凝った刺繍がお好きな方も多いのではないでしょうか。実はアンティークの宝石箱にも、刺繍をあしらったものがあるんです。
色鮮やかな刺繍のかわいらしさ
刺繍をあしらったアンティーク宝石箱は年月を経て刺繍が布になじみ、模様の美しさが引き立っています。今では見られない手の込んだ刺繍が見つかるのも、楽しみのひとつですよね。刺繍の色鮮やかさでインテリアにポイントをつくりたいという方、柔らかでかわいらしい雰囲気が好きな方におすすめです。またこのタイプの宝石箱はフタ全面に刺繍が施されている華やかなものが多いですが、それ以外に部分的に刺繍を取り入れたものもあります。例えば宝石箱のクッションに刺繍があしらわれていたり、刺繍を施した布がケースの側面を飾っていたりと、なんともかわいらしい印象ですよ。
代表的な2つの刺繍
アンティークの宝石箱によく使われる刺繍はフランス刺繍、プチポワン刺繍の2種類です。それぞれ醸し出される雰囲気が異なるので、欲しい印象で刺繍の種類を選んでみてください。なお、長年の経年変化を得て布地はある程度傷んでいます。出来ればこのタイプの宝石箱は、直射日光が当たらない場所に置いてあげましょう。
清楚なフランス刺繍
土台となる布に、様々な色糸で絵画のような装飾を施す、刺繍の代表的存在です。
優美な雰囲気が魅力です。
華やかなプチポワン
土台となる布に、斜めに一定角度で交互に針を進め、ゴブラン織りのような模様をつくる刺繍です。
華やかな印象が特徴です。
使い込まれた艶が美しい、革製の宝石箱
アンティークの革の宝石箱は使い込まれた飴色の質感もさることながら、カジュアルからクラシカルまで、そのデザインの多彩さも魅力です。
女性にも男性にも。バリエーションが豊富
丁寧になめした革でつくられた宝石箱はそのかっちりとした印象から、女性はもちろん男性の方にもおすすめです。またアンティークの革製の宝石箱は、大きさも印象も様々なものが揃っています。例えばよく見られるのが、手のひらサイズで中に仕切りが無いタイプで、きちんと感は保ちつつもカジュアルな印象です。一方、中がシルクやベルベットのクッションでしっかりと仕切られ鍵まで付いた、大ぶりで豪華な印象の宝石箱もあります。ちなみに革の色は定番の茶、黒以外にも赤や紫など色鮮やかなバリエーションが見受けられます。100年以上前の色が今も鮮やかに残っているのには、驚かされてしまいますね。
歴史を感じる金彩
革の宝石箱には金彩がほどこされている場合が多いのですが、その文様につくられた時代が反映されていることがあります。例えば18世紀後半から19世紀につくられた革製の宝石箱には、ゴシックという装飾様式が取り入れられていることがあります。ゴシック様式自体は12世紀からあるスタイルですが、19世紀に「ゴシック・リヴァイバル」として再評価されました。写真の宝石箱もその時代のものです。金彩にはゴシック模様が取り入れられ、中世ヨーロッパの雰囲気が満載です。
なかなか見つからない、オルゴール付き宝石箱
オルゴール付きの宝石箱は、デザインだけでなくオルゴールの音色も楽しめてしまう魅力的な宝石箱です。けれど「なかなか見つからなくて」なんてお困りの方も多いのではないでしょうか。
オルゴール付きは、見つけにくい
探されている方も多い、アンティークのオルゴール付き宝石箱。実はアンティークものは残念ながらほとんどありません。海外には取引もあるようですが、日本ではあまり出回っていないようです。日本国内では、作られて100年未満の「ヴィンテージ」も含めて探すと見つけやすくなりますよ。ちなみに海外では「music jewelry box」というキーワードで取り扱われているようです。
これはなに様式?デザインに感じる歴史
例えば19世紀のフランスのオルゴール付き宝石箱に注目してみましょう。18世紀後半から19世紀にかけてのフランスは、指導者が変わるごとに流行りのインテリア様式が生まれました。オルゴール付き宝石箱も、その様式を反映しています。代表的なのがイラストで示したルイ15世様式。ルイ15世様式とはいわゆるロココ調で、植物の葉のような複雑な曲線を用いた模様「ロカイユ」が特徴的です。
必ずしも生産された同年代の様式を反映しているわけではありませんが「これはもしかして、あの様式かな。」なんて考えるのも、楽しみのひとつですよ。
細工がうつくしい、オルゴール付き宝石箱
ヴィンテージも含め古いオルゴール付き宝石箱は、凝った細工が施されています。金属を彫って文様が描かれていたり、木箱に金属で美しい装飾がほどこされていたり。他にも、異なる木を組み合わせ模様を描く木工象嵌のデザインもよく見られます。優美なデザインが多いオルゴール宝石箱、高級感が欲しいという方におすすめですよ。
なおオルゴール付きの宝石箱はオルゴールが入っている分、アクセサリーの収納スペースは小さくなります。中には箱の半分しか収納できる広さが無いなんてものも。収納したいアクセサリーが入り切るかどうか確認しておくと安心ですよ。
新品にはないデザインが魅力的なアンティークの宝石箱。しかし、アンティークの宝石箱ならではのデメリットもあるのです。見た目だけで選んで後悔しないように、宝石箱を選ぶ際に気をつける点をお伝えしていきます。
アンティーク宝石箱を選ぶ際に気をつける、5つのこと
デザインが魅力的なアンティークの宝石箱ですが、アンティークならではの注意点も存在します。どれを購入するか決める前に目を通していただきたい5つのポイントをお伝えします。
考えておきたい、収納スペース
デザインが素敵なアンティークの宝石箱の数々。しかし仕切りが無いものも多いことから、事前に自分にあった収納タイプを検討しておく必要があります。まずアクセサリーを細かく整理したいのか、ケースに入れられるだけでいいのか決めておきましょう。前者であれば数は多くありませんが、仕切りのある宝石箱を探すか、場合によっては新品の宝石箱の方が使いやすいかもしれません。次に考えておきたいのが手持ちのアクセサリーを全て収納するのか、飾りたいものだけを入れるのかです。宝石箱の大きさを選ぶポイントとなるので、ぜひとも押さえておきましょう。
なお色々と考えてみた結果、アンティークの宝石箱では収納力が足りない、と悩んでしまうこともあるかもしれませんね。その解決策のひとつが、アンティークの宝石箱に入り切らないアクセサリーを別の場所に収納すること。せっかくなのでアンティークの雰囲気が楽しめるように、宝石箱以外のアンティークで収納する方法を考えてみました。後ほどご紹介しますので、お楽しみに。
内側の布地の傷み
宝石箱には、ホコリや汚れからアクセサリーを守る機能があります。でも宝石箱の中のクッションや布が傷んでいると、布の汚れがアクセサリーにつかないか気になってしまうかもしれませんね。そんな場合は新しい布をかぶせるなどして対処してあげると、安心して使うことが出来ます。ただしせっかくのアンティーク宝石箱なので、布の材質にはこだわりたいもの。布の色はワインレッドなど落ち着いた色味、色あせたようなパステルカラーがよく合います。素材ならベロアやシルクが、アクセサリーに優しく高級感もありおすすめですよ。
ガラスは光に注意
アクセサリーによっては、ガラスを用いた宝石箱に入れるのに注意が必要です。ガラスは光を遮断することができないので、宝石によっては変色する危険があるのです。紫外線に弱い宝石としては、アメジスト・シトリン・クンツァイ・ターコイズ・シェル・カメオ・真珠などがあります。例に挙げた宝石はガラス製の宝石箱には入れないか、あまり光が当たらない場所に置くように気を配ってあげてくださいね。
修理できない可能性も
アンティークショップでは様々な品物を取り扱っているため、購入する品物に詳しいとは言い切れません。修理すれば直ると言われたのに、結局直らなかった…なんてことも。また後々の修理費が宝石箱の購入金額と見合うかも疑問です。それを覚悟で買うか、メンテナンスを施している専門店で購入することをおすすめします。またオルゴール付きの宝石箱は、オルゴールが修理出来ない可能性もあるので、デザイン重視で選ぶ方がいいかもしれません。
取扱いに少し気をつけて
歴史を経て生み出された「ダメージ」はアンティークの大きな魅力ですが、味わいが傷みに変わってしまわないように手荒く扱わない、直射日光などは避けるなど配慮する必要があります。また金属部の曲がりやガラスの欠けなどが生じていた場合はアクセサリーを傷つける恐れがありますので、購入前はもちろんのこと使い始めてからも時々チェックして、コンディションに配慮した使い方をしてあげてくださいね。
アンティークの宝石箱は新品よりも少し手がかかります。手間は承知でやっぱり欲しいと感じたなら、次に気になるのはやはり価格ですよね。
アンティーク宝石箱の価格は?
アンティークの宝石箱はほぼすべてが1点もの、出会った時が手に入れたいタイミングです。ピンとくる出会いがあった時のために、だいたいの相場を把握しておきましょう。なお値段は大きさ・コンディションに比例し、材質によっても異なります。
素材によって開きがある、箱型
布製などの手のひらサイズの宝石箱ですと、仕切りのない型で5,000~7,000円。仕切りがあると価格が上がる傾向にあります。素材で比較的高価なのが本革。幅が20cm以上の両手でしっかりと持つ大きさのもので、コンディションが非常によく、さらに中の仕切りやクッションが充実しているとなると50,000円以上はするようです。
コンディションが要、真鍮とガラス
真鍮とガラスでできたタイプは8,000~30,000円が相場。手のひらからぎりぎりはみださない11cmほどのサイズ感で20,000円代です。価格は内側のクッションのコンディションに大きく左右され、クッションが無い場合は比較的安価で手に入るようです。
日本ではレア、オルゴール付き宝石箱
オルゴール付きの宝石箱の場合、アンティークはほとんど流通していないのでヴィンテージが主流になります。ヴィンテージならばおおよそ数千円から手に入るようです。どうしてもアンティークのオルゴールつき宝石箱が欲しい場合は、海外でまれに売られていることがあるので海外のショップをチェックしてみましょう。例えばアンティークで19世紀のものなら、海外の市場では$200~$600USD(約23,000~68,000円)の価格帯で売られています。値段の差はオルゴールが鳴るかどうかと装飾の豪華さの2点から生まれ、特に金属装飾が施されたものは高価なようです。
金額の相場は2016年2月15日時点でのものです。
アンティーク宝石箱についてお話してきましたが、いかがでしたか。アンティークの宝石箱は素敵だけれど、手持ちのアクセサリーがしまい切れない、あるいは高価で購入を躊躇する、そんな声も聞こえてきそうです。そんな方におすすめしたいのは、宝石箱以外のアンティークを取り入れながらジュエリーをしまうことです。次の章で具体的に、ご紹介していきますね。
アンティークを取り入れたジュエリーディスプレイ
アンティークの宝石箱にアクセサリーが入りきりそうにない、アンティークの宝石箱が思ったより高価で購入を躊躇している、そんな悩みが出てきたかもしれませんね。その解決策として今回は宝石箱以外のアンティーク雑貨を使って、アクセサリーをしまうアイディアを考えてみました。この方法なら入りきらないアクセサリーを、アンティークの宝石箱にも相性よくディスプレイすることが出来ます。また雑貨の選び方によっては、価格を抑えつつもアンティークの味わいを楽しむことが可能ですよ。
それではどんなアンティーク雑貨が使えるのか、順番にご紹介していきますね。
アンティークのガラス瓶
チェーンがこんがらがってしまうとやっかいなネックレスやブレスレット。ケースに収納するよりも吊るす方がより使いやすいです。そこで、アンティークのガラス瓶にネックレスやブレスレットをかけてみてはどうでしょうか。ガラスに光が反射しアクセサリーが映える上、どんなアクセサリーを自分が持っているか一目瞭然です。背景が単色になるよう棚などにディスプレイすると、ガラスが美しく見えます。
アンティークフレーム
アンティークの額縁を使いディスプレイしていきます。大きさに比例して価格が上がるアンティークフレームも、写真立てなど小ぶりなものを選べば価格が抑えられますよ。額縁に組み合わせる材料によって、印象も使い勝手もかなり変わります。ディスプレイの方法として2つのアイディアをご紹介します。自由な発想で楽しんでくださいね。
コルクボードを活用
フレームにコルクボードを合わせ、ピンで留めていきます。さらにひと手間かけてコルクボードに布を張れば、より雰囲気がよくなります。例えば高級感あるベロアやシルク、またアンティークの味わいと馴染みやすいリネンもおすすめですよ。
レースやリボンを張って
額に紐を張ります。ネックレスやブレスレットだけでなく、ピアスを収納したい方にもおすすめの方法です。
例えばレースを張ればフック型のピアスも収納することが出来ます。他にも穴を開けたしっかりした素材のリボンを用意すれば、スタッドピアスも収納可能です。紐がへたってしまう場合は、紐に糊付けするといいですよ。
アンティークのガラスプレート・グラス
アンティークのガラス製品は味のある気泡や、華やかなカッティングが魅力たっぷりです。小さなプレートはリング・ピアスなど細々としたアクセサリーを収納するのに役立ちます。またディスプレイに立体感を与え“おしゃれ感”を高めてくれる脚付きのものもおすすめですよ。例えば小ぶりの脚付きグラスはフックピアスをの収納にぴったりで、縁にピアスをかければチャームが映る上付け外しも簡単です。他にも脚付きのガラスコンポートなら、大ぶりなアクセサリーも余裕を持って飾ることが出来ます。
アンティークのティーカップ
小ぶりでかわいらしいティーカップは、鮮やかな絵柄がお部屋をパッと華やかにしてくれます。金色の装飾が施されたものが多いので、ゴールドのアクセサリーに似合います。またティーカップはひとつで使うだけでなく、いくつかを並べて使うのもおすすめ。意外なことに、色柄が異なるものでもサイズ感を揃えればきちんと統一感が出るんです。そんな特性を生かして、例えばガラスのディスプレイケースに仕切り代わりにティーカップを並べ、アクセサリーを飾るのも素敵ですよ。
まとめ
深みのある佇まいが素敵なアンティークの宝石箱。自分がどの程度の収納性や保護性を求めているかを決めてから、選ぶことが大切です。
また、今回は他のアンティーク雑貨をディスプレイに使うアイディアを考えてみました。アンティークの宝石箱の収納性を補うために使っても、宝石箱を買わずアンティーク雑貨を使ったディスプレイで完結させるのもよし。ぜひアンティークならではの味わいを取り入れて、あなたのアクセサリーをより魅力的に見せる収納を楽しんでくださいね。