ヴィンテージチェアが欲しい!まずは知っておきたい入門知識

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ヴィンテージチェアが欲しい!まずは知っておきたい入門知識

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ヴィンテージ 椅子 チェア

個性的でかっこよくてお部屋をおしゃれに彩ってくれる、そんな椅子が欲しくて「ヴィンテージチェア」を探している方は多いですよね。
欲しい椅子のイメージがなんとなく固まっているという方も多いかもしれませんが、ヴィンテージチェアと呼ばれる椅子には、デザイン性の高いものが、実にたくさんあるんです!
もし、自分が想像しているよりもさらに多くの種類のヴィンテージチェアがあるとしたら、それらの椅子についても知った上で、どのヴィンテージチェアを購入するか吟味したいと思いませんか?
そこでこの記事では、たくさんあるヴィンテージチェアの種類を一挙にご紹介!さらに、リプロダクト品の見分け方や購入後のお手入れ方法まで、ヴィンテージの椅子が欲しいと思ったらぜひ知っておきたい情報をまとめました。
この記事を読めば、さらに豊かなヴィンテージチェアの世界が開けるはずです。それでは早速、見ていきましょう。

Contents

そもそも「ヴィンテージ」とはどういう意味?

ヴィンテージ 椅子

「ヴィンテージ」という言葉は、もともとワインに関する用語で、葡萄が収穫された時期やそのワインが醸造された年度を表し、「成熟した芳醇な味わい」を意味しました。ここから転じて「時を経た名品」という意味でも用いられるようになり、ワインだけでなくファッションや車などの領域でも多用されるようになったのです。
インテリアの世界では、おもに1950~80年代頃の名品をヴィンテージ家具と呼んでいます。この記事でも、この年代に作られた椅子に焦点を当て、「ヴィンテージチェア」としてご紹介していきます。無名の椅子から有名なデザイナーズチェアまで、古き良き時代の名残を感じる椅子がたくさん登場しますよ。

国別に見る、ヴィンテージチェアのデザインの特色

まずは、ヴィンテージチェアにはどんなデザインがあるのか、作られた国別に見ていきましょう。その国や地域ならではの特色を押さえておけば、欲しいイメージに近い椅子も見つけやすくなります。

木の温もりが魅力。デンマークヴィンテージ(北欧ヴィンテージ)の椅子

北欧家具 ヴィンテージチェア

北欧諸国は、日照時間が短く、1年の中でも冬の時期が長いという地理的な特徴を有しています。そのため、自然と室内で過ごす時間が長くなり、人々は明るく温かな雰囲気のインテリア作りにこだわるようになりました。身近に豊かな森林があったことから、その木材をふんだんに使って、木のぬくもりを感じる家具が多く作られたのです。
とくにデンマークでは、チークやローズウッドなどのキメが細かく丈夫で美しい木材がたくさん採れました。そのため、良質なヴィンテージ家具が多く見つかります。椅子も例外ではなく、滑らかなラインや、個性的な背もたれのデザインなど、シンプルでありながらも細部までこだわり抜かれた作り込みが特徴です。
洗練されたデザインの北欧ヴィンテージといえば、デンマーク製と言っても言い過ぎではないほどで、実際、多くのデンマークヴィンテージの家具は、「北欧ヴィンテージ」という表記で販売されています。

オレンジ色の木肌で温かな雰囲気に。チーク材製の北欧ヴィンテージチェア

デンマーク ヴィンテージ チェア

室内で過ごす時間が長かったことと、貧しかったこともあり、家具のデザインはシンプルで飽きのこないものというのが、北欧ヴィンテージの特徴です。
こちらの椅子も、すっきりとしたデザインに仕上がっていますね。パーツの角を滑らかに削ることで、スタイリッシュでありながらも柔らかな雰囲気に仕上げたり、チーク材のオレンジ色を存分に活かすことで、温かな雰囲気が感じられます。
また、北欧のインテリアといえば、独特の色づかいにも注目です。ヴィンテージチェアの布座面にはニュアンスカラーが取り入れられていることが多く、その繊細な色づかいが魅力ですよ。一方で、ヴィンテージとなると座面が張り替えられていることも多く、より明るくカラフルなデザインも見られるようになりました。布座面の椅子を選ぶ際には、インテリアのバランスを考えながら、お好みのものを探してみてください。

モダンな香りが漂う。木材×レザーの組み合わせがクールな北欧ヴィンテージチェア

北欧 ヴィンテージ 椅子

北欧ヴィンテージチェアの中には、木材の温かみを活かしながらも、よりモダンな雰囲気に仕上がっているデザインもあります。とくに、こちらのようなレザーを使ったヴィンテージチェアは、北欧のミッドセンチュリースタイルとして非常に人気です。
先ほどと同じくチーク材が使用されていて、北欧家具らしい温もりはそのままに、しかし黒いレザーのシートが一気にモダンの色を強めています。先ほどとはまた違った趣が感じられて面白いですよね。異素材を組み合わせた洗練されたデザインで、空間をグッと引き締めるのにも効果的。人気の男前インテリアにもぴったりな椅子です。

インダストリアルな雰囲気が得意。アメリカヴィンテージの椅子

アメリカン ヴィンテージ 椅子

アメリカでは、1945年の第二次世界大戦終了後、戦時中の軍需産業が生み出したプライウッド(成型積層合板)やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)などの技術を用いた新しいデザインや、戦後の開放感ある時代を体現するようなポップなカラーの椅子が多く登場しました。
また、この工業が盛んな時代に活躍したファクトリーチェアなど、まさしくインダストリアルな雰囲気が溢れるヴィンテージチェアも、根強い人気を集めています。

これぞアメリカンミッドセンチュリー。樹脂製のヴィンテージチェア

アメリカ ヴィンテージ チェア

アメリカンミッドセンチュリーの椅子といえば、ポップでカラフルな色づかいと、新素材によって可能となった、それまでにない大胆なフォルムが魅力。見ているだけで元気になれそうなインテリア作りに活躍します。
こちらのヴィンテージチェアは、パッと目を引くビタミンカラーの樹脂座面と、クールな金属製の脚の組み合わせがおしゃれ。このように存在感のある椅子は、お部屋に一脚取り入れるだけで、あっという間に雰囲気を変えてくれます。アメリカンミッドセンチュリースタイルに憧れている方は、ぜひ取り入れやすいチェアから挑戦してみてはいかがでしょうか。

無骨なデザインがかっこいい。アメリカヴィンテージのファクトリーチェア

ヴィンテージ ファクトリーチェア

アメリカヴィンテージの椅子の中では、工業的な雰囲気が漂うファクトリーチェアも人気です。ヴィンテージならではの古い木製のものやアイアン素材のものなど、ジャンクなテイストのチェアが当てはまります。中には回転椅子タイプになっていたり、キャスターが付いていたりするものもあり、きちんとリペアされていれば機能的に使うこともできて便利ですよ。インテリアにこだわりたい書斎やワークスペースなどにもおすすめです。

程よくエレガントさが残る、フランスヴィンテージの椅子

フランス ヴィンテージ

フランスヴィンテージの椅子になると、1950年代より前のアンティークのデザインを踏襲した優雅なデザインが多くなります。しかし、装飾性の凝った豪華なアンティークチェアと比べると、だいぶ落ち着いた見た目に仕上がっているので、派手すぎることなく、現代の住宅にも取り入れやすいんですよ。

フランスの伝統を汲んだ、優雅なデザインのヴィンテージチェア

フランス ヴィンテージ チェア

こちらは、猫脚(カブリオールレッグ)のデザインや、背もたれの緩やかな曲線づかい、さらに座面のゴブラン織りなど、フランスアンティークの特徴をそのまま引き継いだようなヴィンテージチェアです。18世紀のイギリスで誕生したクイーンアン様式を踏襲しているようにも見えますが、やはり当時のもの(=アンティーク)と比べると、背板のカットがシンプルになっているなど、全体的にさっぱりとしています。
使用される木材も、アンティークの場合は、マホガニーやウォールナットなどの高級材が使用され、より重厚感を感じる見た目になりますが、こちらのヴィンテージの椅子では、ビーチ材が使われています。色味も明るく、カジュアルで親しみやすい印象ですね。気軽に楽しめる優雅さが魅力です。

シックな中にもモダンな要素が感じられるフランスヴィンテージチェア

フランス ヴィンテージ 椅子

アンティークのような優雅なデザインが多いフランスヴィンテージチェアですが、その一方で、伝統を重んじながらもモダンな要素を織り交ぜたデザインも見つかりますよ。
たとえば、こちらの椅子は、こげ茶色のレザー座面がシックな落ち着きを感じさせつつも、これまでのフランスアンティークチェアには見られないユニークな姿をしているのが印象的です。
品格と個性をあわせもち、ヨーロッパらしいクラシカルな空間だけでなく、ジャンクスタイルや和モダンスタイルなど、様々なテイストにも合わせられる、そんな汎用性の高さがうれしいですね。

バラエティ豊かな、イギリス(英国)ヴィンテージの椅子

イギリス ヴィンテージ

イギリス(英国)ヴィンテージの椅子は、とにかく様々なデザインが見つかります。アメリカヴィンテージのようなインダストリアルなものや、フランスヴィンテージのようなエレガントなデザインなど、これまでご紹介してきた他の地域のヴィンテージチェアと似たデザインも多くあるので、お目当てのヴィンテージチェアを探す際には、イギリスのものも併せてチェックしておいて損はないですよ。
フランスの場合と同様に、英国における家具の歴史は長く、アンティークの時代から脈々と続くデザインの流れを受けているためか、どのイギリス(英国)ヴィンテージのチェアにも、かすかに上品さが漂っているようにも感じられます。

北欧家具にも通じる、温かみのあるデザインのイギリスヴィンテージチェア

イギリス ヴィンテージ チェア

こちらは高級なウォールナット材を使用した椅子です。ウォールナット材は表面の艶が特徴で、イギリスらしい高級感が感じられます。一方、見た目のデザインに注目してみると、英国アンティークの椅子ほど仰々しくなく、まるで北欧家具にも通じるような洗練された印象です。わずかに後ろ脚に残るカーブのデザインが、イギリスならではの優美さを漂わせていますね。
フランスヴィンテージの椅子と同様に、程よい上品さを楽しみたい方におすすめできるデザインです。

素朴なカントリーテイストのイギリスヴィンテージチェア

イギリス ヴィンテージ 椅子

イギリス(英国)ヴィンテージチェアの中には、このようなカントリーテイストのデザインもあります。
質素で素朴なデザインが味わい深く、最近ではカフェ風インテリア作りにも、このようなデザインの椅子が人気ですよね。
画像のように、17世紀に誕生したウィンザーチェアのデザインを踏襲したものや、同じくカントリーチェアとして分類されるシェーカーチェアやチャーチチェアなど、人気の種類が多く見つかりますよ。アンティークよりも時代が新しいため、ダメージの少ない良い状態のものが見つかりやすいのもヴィンテージならではのポイントです。

ジャンク感漂うイギリスヴィンテージのスクールチェア

ヴィンテージ スクールチェア

イギリス(英国)ヴィンテージの椅子の中で、もうひとつ一定の人気を誇るのがスクールチェアです。
スタッキングできるような、シンプルかつ機能的なつくりで、今の私たちが見ると、少し懐かしいようなレトロな雰囲気も感じられますよね。古材とアイアンの組み合わせが、ジャンクスタイルのインテリア作りにもおすすめです。お子さん用のキッズチェアとして使ったり、インテリアの雰囲気を壊さない花台として活用する方が多いようですよ。

いつかは欲しい!憧れの有名ブランド/デザイナーのヴィンテージチェア

さて、続いては、有名ブランドやデザイナーが手がけた椅子を見ていきましょう。
ヴィンテージチェアの中には数え切れないほどの名作チェアが存在しますが、ここでは、その中でも「これだけは押さえておきたい!」という、代表的なブランドとデザイナーを2組ずつご紹介します。

ナチュラルなインテリア作りに人気。北欧スタイル家具ブランドの2トップ

まずは、近年とても人気のある「北欧スタイル」や「ナチュラルスタイル」のインテリア作りに欠かせない2つのブランドのご紹介です。

今やおしゃれな空間には欠かせない「ERCOL(アーコール)」のヴィンテージチェア

アーコールチェア ヴィンテージ

おしゃれなお店や雑誌、TV、様々な場所で目にするアーコールチェア。最近ではインスタグラムなどのSNSでも見かける機会が増えてきました。目にするたびに私も欲しいななんて思っている方もきっと多いのではないでしょうか。
そんなアーコールは、1920年創業のイギリスの老舗家具メーカー。伝統的なウィンザーチェアのデザインをベースとしながらも、シンプルに研ぎ澄まされたモダンなデザインの椅子を数多く生み出してきました。
空間に馴染みやすく、軽量で扱いやすいダイニングチェアはとくに人気。デザインのバリエーションが豊富で、今はもう手に入らない、ヴィンテージならではのデザインも多いんです。
他の家具とも組み合わせやすいので、初めてヴィンテージの椅子に挑戦するという方にもおすすめですよ。

北欧風ミッドセンチュリーなら「G-PLAN(ジープラン)」のヴィンテージチェア

G-PLAN ヴィンテージチェア

G-PLANは、イギリスの家具ブランド E.GOMME社が1953年に発表した、シンプルでモダンなデザインを特徴とした家具シリーズです。北欧家具の影響を強く受けており、木肌の温かみを感じさせる佇まいと、モダンな遊び心の効いたデザインが大きな魅力です。北欧のスカンジナビアンデザインを最初にイギリスに広めたのは、このG-PLANシリーズだったとも言われています。
G-PLANの椅子にもたくさんのデザインがありますが、どの椅子にも共通しているのは、スタイリッシュなフォルムであるということ。中でも希少なモデルとして人気が高いのが、画像のバタフライチェアです。名前の通り、蝶が羽を広げたような見た目の背もたれが特徴で、この個性的なフォルムと、ピリッと効いたブラックカラーの組み合わせが粋なダイニングを演出してくれます。他にも、丸い座面が目を引くサーキュラーチェアや、独特のライン使いが印象的なダイニングチェアなど、粋な個性を楽しめるのがG-PLANチェアの特徴です。

ヴィンテージチェアの名作を生んだ、人気デザイナーたち

20世紀中盤のミッドセンチュリーと呼ばれる時代には、優れたデザイナーや建築家たちによって、斬新なデザインが数多く生み出されました。そんな活気溢れる時代を牽引したデザイナーと、彼らの代表作を簡単にご紹介します。

「シェルチェア」を生んだデザイナーズカップル、チャールズ&レイ・イームズ

ミッドセンチュリーの象徴的存在とも言えるのが、アメリカのチャールズ・イームズとレイ・イームズ。20世紀のモダンデザインの流れを作り、後のデザイナーにも大きな影響を与えた夫妻です。
この2人が生んだ「イームズシェルチェア」はあまりにも有名で、現在でも数え切れないほどのリプロダクト品が製造されており、その人気のほどがうかがえます。ヴィンテージチェアに興味のある方なら、誰しも一度は目にしたり耳にしたことがあるのではないでしょうか。
(※リプロダクト品については、4章で詳しくお話しします。)
「より安価で軽量に」というコンセプトで作られたシェルチェアは、新素材(繊維強化プラスチック、FRP)を採用した斬新なシェルと、エッフェルタワーと呼ばれる脚部の構造美、そしてローコスト化で、1950年の発表当時大きな注目を集めました。
なお現在では、シェルの素材は環境に配慮したポリプロピレン(PP)を使用しているようです。現行の正規品はハーマンミラー社から購入することができます。

「Yチェア」を生んだ“椅子の巨匠”、ハンス・J・ウェグナー

ウェグナー Yチェア ヴィンテージ

ハンス・J・ウェグナーは、デンマークのデザイナー。17歳の若さで家具職人の資格を取得した背景をもち、細心な職人芸で賞賛を浴びてきました。常に過去の名作や様式を学び、自身も素材の特性や製法も熟知することで、工房を訪ねては職人たちとディスカッションを重ねるというスタイルで家具作りを進めていたと言われています。
「ザ・チェア」「Yチェア」などの名作をはじめ、生涯に500脚以上の椅子を発表したことから「椅子の巨匠」と呼ばれ、20世紀の北欧デザイン界に大きな影響を与えた人物です。
そのように代表作の多いウェグナーですが、その中でもとくに評価されているのは、やはり「Yチェア」でしょう。1949年のデザインで、現在までに70万脚以上が製造されているというロングセラーです。ウェグナー作品の特徴でもある優美なラインや、繊細な職人技で編まれたペーパーコード座面など、どこを取っても美しいチェアは、北欧モダンの名作として、時代を超えて人々に愛されているんですね。
ヴィンテージのお品であれば、経年によって飴色に変化し、輝きを増した木肌も魅力的ですよ。もちろん、新品を購入して自分で一から育てていくというのも良いでしょう。現行品は、カール・ハンセン&サン社にてお求めいただけます。

日本のヴィンテージチェアもチェック!定番の家具メーカー3社

ここまで海外のヴィンテージチェアについてご紹介してきましたが、実は日本にも、素敵なヴィンテージチェアがたくさんあるんですよ。
日本におけるヴィンテージチェアが誕生したのは、おもに1960年代。東洋の奇跡と呼ばれた高度経済成長の時代でした。「世界に追いつけ追い越せ」という意気込みをもって作られた椅子たちは、まさに世界に通用するデザインとなっていったのです。
それでは、代表的な3つの家具メーカーを見ていきましょう。

日本人デザイナーとのコラボレーションが光る、「天童木工」

天童木工は、1940年に山形で創業された家具メーカー。国内でいち早く成形合板の技術を取り入れ、無垢材では表現が難しかった複雑な曲面を持つ美しい家具制作を可能にしました。この技術を認めた数々のデザイナーや建築家と積極的にコラボレーションすることで、まさに和製ミッドセンチュリーとも言える斬新なチェアを数多く生み出したのです。

天童木工 ヴィンテージチェア

天童木工の椅子の中でも、とくに北欧やアメリカのミッドセンチュリースタイルに近いデザインなのがこちらのチェア。ブラックカラーのシートとアイアンの細身な脚の組み合わせがスタイリッシュでかっこいいですよね。

低座椅子 ヴィンテージ

一方で、日本製ならではといえば、こちらの低座椅子。長大作によるデザインです。「和室でも楽に座れる椅子を」というコンセプトで作られ、絶妙な座面高が最大の特徴です。この高さのおかげで、椅子から立ち上がる動作も楽にできるんですよ。和室に合わせても洋室に合わせてもモダンにきまる、まさに和製ミッドセンチュリーと言えるデザインですね。

世界に通用するスタンダードデザインを生んだ、「カリモク」

天童木工と同じく1940年に愛知県で創業したのが、カリモクです。当初は木工所としてスタートし、長年に渡って培った技術を活かして家具の制作も行うようになりました。本格的に自社製品の国産家具を生産し始めたのは、1962年からと言われています。

カリモク Kチェア ヴィンテージ

カリモクといえば、真っ先にこちらのKチェアを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
1962年に製造が開始され、以後「日本のヴィンテージデザイン」として広く人気を博し、現代でも「カリモク60」として、形を変えることなく脈々と続いているロングセラーデザインです。普遍的なデザインで、様々なテイストに合わせやすいのはもちろん、飽きることなく長く愛用できる定番チェアと言えるでしょう。

ヴィンテージ カリモク 椅子

かっこいい革製以外にも、レトロな雰囲気の布製のチェアも人気です。飴色の木肌と、洗練されすぎていないデザインが、昭和の時代の懐かしさを感じさせますね。お部屋に置くだけで優しい雰囲気を演出してくれます。

確かな技術でクラシカルからモダンまで。「飛騨産業(キツツキ)」

キツツキマークで知られる飛騨産業は、1920年に岐阜県で創業しました。飛騨高山の地に根付いていた木工の伝統技術と豊富なブナ林を資源に、西洋から伝えられた曲げ木家具の技術を積極的に取り入れることで、椅子をはじめとする日本の家具文化を育んできたブランドです。
曲げ木の高い技術と天然木の風合いの見事な融合が特徴で、伝統を重んじたクラシカルなスタイルから、確かな技術に裏打ちされたモダンなスタイルまで、幅広く展開されています。

飛騨産業 ヴィンテージチェア 

こちらのアームチェアは、モダンというよりもクラシカルな印象ですね。背もたれとアームが一体となったカーブには、お得意の曲げ木の技術がよく表れています。ヴィンテージならではの古い木の質感が味わい深く、カントリースタイルやジャンクスタイルのインテリアにもぴったりです。特徴的なフォルムがお部屋の中で存在感を示してくれますよ。「ローバック」と呼ばれる低めの背もたれで、空間に馴染みやすいのもポイントです。

キツツキ カスケードチェア ヴィンテージ

こちらは、1970年代に販売されたカスケードシリーズのサロンチェア。低めのスタイルと北欧テイストのデザインで当時人気を博しました。こちらの画像は、黒と赤の組み合わせでハイカラな雰囲気が漂っていますね。
小ぶりで軽量、さらにスタッキングもできるという利便性の高い設計も魅力です。
現在では、当時よりも5cm程度座面を高くし、リビングダイニングのテーブルにも合わせられる食卓チェアとして販売されているようですよ。

ヴィンテージチェアを購入する前に!正規品とリプロダクト品の違いを知っておこう

ここまでたくさんの有名ヴィンテージチェアをご紹介しました。
ところで、こうした知名度のあるヴィンテージチェアを探していると、「リプロダクト」と謳われている商品を目にすることがあると思います。「リプロダクトって何?」「偽物ってこと?」と疑問に思っている方のために、この章ではリプロダクト品についてお話しします。

そもそもリプロダクト品とはどんなもの?

リプロダクト品とは、意匠権の期限が切れたデザイナーの製品を、正規メーカー以外の企業が、オリジナルデザインにできるだけ忠実に復刻生産した製品のことを指します。「ジェネリック家具」と呼ばれることもありますね。あくまでも意匠権が切れたものを復刻しているので、違法に真似て作られたコピー品とは異なります。
有名なデザイナーによってデザインされた椅子は、通常10年以上(日本は20年、アメリカは14年)の意匠権がありますが、ヴィンテージチェアとなると、すでにその意匠権が切れているものが大半。そのため、「名作」と呼ばれる人気のデザインであるほど、多くのメーカーによって同じデザインの椅子が作られるのです。とくにイームズのシェルチェアなどは、本当にたくさんのリプロダクト品が見つかります。
このようなリプロダクト品が製造される理由としては、開発費が少なく済むこと、財団へのロイヤリティーが発生しないこと、そのため人気のデザインを低価格で提供できることなどが考えられます。

リプロダクト品のメリット・デメリット

リプロダクト品の一番のメリットといえば、やはり憧れの有名チェアと同じデザインの椅子を手頃な価格で入手できることでしょう。
たとえば、イームズのシェルチェアであれば、「最高のものを、最大多数の人に、最低価格で」提供したいという思いで作られたとも言われているため、このようにリプロダクト品が広く出回っていることも、別段、咎められることではないのかもしれません。
価格が安価であれば、実用品として気兼ねなく使い倒すことができるのも、ひとつのメリットと言えます。とくに小さなお子さんがいる家庭などでは、子育て中でもインテリアを我慢する必要がないのはうれしいですよね。
しかしリプロダクト品の場合、製造しているメーカーによって、価格も品質もピンからキリまでというのが実際のところです。正規品に忠実に、材質や組み方にもこだわって作られているものもあれば、見た目だけ似せている粗悪品も中にはあります。そのため、価格が明らかに安すぎるものに関しては、少し警戒した方が良いかもしれません。正規品の5分の1~10分の1くらいの価格であれば妥当、という意見もあるようなので、リプロダクト品を検討する際には、ひとつの参考にしてみてください。

また、正規品かリプロダクト品かで悩んでいる場合、最終的にはご自分の気持ちをしっかりと確かめることが必要です。使っていく中で、「正規品ではない…」という違和感や後ろめたさを感じてしまう方は、たとえ手頃であったとしても、リプロダクト品は選ばないほうが良いでしょう。
正規のデザインは、デザイナーや職人がしっかりと細部にまでこだわり、丹精込めて作ったものです。どんなに見た目を似せることができたとしても、その作り込みなど見えない部分が雑に作られていては、「復刻版」と呼ぶことも適切かどうかわかりません。
椅子の場合はとくに、私たちの体を支える重要な役割がありますから、見た目のデザインだけでなく、機能性や安全性の保証を求めるなら、信頼できる正規品を選んだほうが賢明です。

有名ヴィンテージチェアの、正規品とリプロダクト品の見分け方

ヴィンテージチェア 刻印

基本的には、リプロダクト品はしっかりと「リプロダクト品」あるいは「ジェネリック品」と名乗っているので、まずはそこを確認しましょう。しかし、中にはそうした文句をあえて目立たない小さな文字で書いたりするなど、悪質な販売業者もいます。引っかからないためには、隈なくチェックすることが大切です。
そして、もうひとつ分かりやすい方法は、ブランドの刻印やロゴシールの有無を確認することです。これが残っていれば、ひと目で客観的に正規品だと判断できます。座面の裏や背面などを確認してみましょう。
ただし、残念なことに、とくにシールの場合は、時間の経過に伴って剥がれて紛失してしまっている場合もよくあります。その場合は判断が難しくなるので、そのブランドに詳しいショップの人など、信頼できる目をもった人から購入することがおすすめです。どうしても本物の保証がほしいという場合には、しっかりと刻印やロゴ、タグなどが残っている商品を選びましょう。
また、イームズのシェルチェアや、カリモクのKチェアなどは、正規品とリプロダクト品の違いを徹底的に検証しているウェブの記事なども見つかりますので、それらを参考にしてみるのも良いですね。

ヴィンテージチェアのメンテナンス方法

最後に、ヴィンテージチェアのメンテナンス方法をご紹介しましょう。
と言っても、有名ブランドや有名デザイナーの椅子は、ホームページなどにお手入れ方法が詳しく紹介されていることもありますので、まずはそちらをご確認いただくのが一番良いかと思います。
ここでは、材質別の基本的なメンテナンス方法をご紹介しておきます。

木材部分のメンテナンス方法

ヴィンテージチェア 板座 お手入れ

木製チェアの場合は、普段のお手入れは軽くホコリを落とす程度でOKです。やわらかい布などで乾拭きしましょう。
もし、頑固な汚れがついてしまった場合には、中性洗剤をぬるま湯で薄め、やわらかい布に染み込ませて固く絞り、汚れをやさしく拭き取ってください。仕上げに乾拭きしてしっかりと水分を拭き取れば完了です。

〈定期的に行いたいスペシャルメンテナンス〉
使用していくうちに、ちょっとしたキズが付いてしまったり、乾燥して表面がカサカサしてしまうこともあります。そんなときには、オイルやワックスを使ったメンテナンスがおすすめです。やわらかくきれいな布を2枚用意し、1枚にオイルまたはワックスを付け、チェア全体に薄く延ばしていきます。その後、すぐにもう1枚の布で乾拭きをすれば完了です。
オイルとワックス、どちらが適しているかは、チェアの仕上げ方法によって異なるので、購入したお店に確認してみてくださいね。

ファブリック部分のメンテナンス方法

ヴィンテージチェア 布座面 お手入れ

細かいホコリやゴミが付着しやすいファブリック部分は、毛先がやわらかいブラシなどを使って払いましょう。生地が傷まないように、やさしく行うのがポイントです。ブラシタイプの掃除機を使うのも良いですね。
古い生地は傷みやすいので、水洗いも避けるほうが無難です。

食べこぼしや飲みこぼしなどの汚れがある場合には、中性洗剤を使います。ぬるま湯で薄めた中性洗剤を、やわらかい布に染み込ませ、固く絞って、汚れが広がらないようにトントン叩くようにして拭き取りましょう。このとき、外側から内側に向かって円を描くようにすると、汚れが広がるのを防げます。汚れが落ちたら、別の乾いた布で洗剤を吸い取るように拭き、自然乾燥させて完了です。

レザー部分のメンテナンス方法

ヴィンテージチェア レザー お手入れ

レザー部分は、やわらかい布で乾拭きが基本です。水分は変色・変形の原因になってしまうので、なるべく水拭きは避けましょう。どうしても落ちない頑固な汚れがある場合だけ、固く絞った布で拭き取ります。革を傷めてしまわないように、軽くトントンと叩くことを意識してみてください。強く擦るのはNGです。色ムラが心配な場合には、汚れの周囲も合わせて叩いておくと安心です。

〈定期的に行いたいスペシャルメンテナンス〉
革をきれいな状態で保つために、レザークリームを使ったメンテナンスも行えると良いですね。半年に一度くらいの頻度を目安にしてみてください。

アイアン部分のメンテナンス方法

ヴィンテージチェア アイアン お手入れ

普段は乾いた布もしくは固く絞った布で、表面の汚れを拭いてください。汚れが落ちない場合には、中性洗剤を含ませたやわらかい布を使って表面の汚れを落とし、その後水拭き、乾拭きの順で仕上げます。最後に、ワックスを塗るとサビの防止と状態維持に効果的です。
万が一、サビが生じてしまった場合には、不織布タイプの研磨パッドでサビ部分をこすって取り除き、ワックスを塗って、再びサビが生じてしまうのを防ぎます。

樹脂部分のメンテナンス方法

やわらかい布を湿らせて、汚れを拭き取るようにお手入れしましょう。落ちにくい汚れの場合は、ぬるま湯と少量の中性洗剤を含ませた布で拭いてください。最後に乾拭きで仕上げて完了です。

最後に

ヴィンテージチェアの基本の知識についてご紹介しました。今まで漠然とイメージしていたヴィンテージチェアが、よりはっきりと身近に感じられたでしょうか。この記事で、ヴィンテージチェアに対する興味を深めていただけたなら幸いです!

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